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村の元気印。西米良のために。女性のために。

中武 三枝さん(64歳/村所地区)

西米良村の中心地、村所地区にひときわ元気な女性グループがある。その名は『村所女性部いとまき倶楽部(以下、いとまき俱楽部)』。農作物の生産、加工を一貫して行っている。

以前取材した西米良村移住応援マガジン『1,000人が笑う村』でも触れているが、「米良は女性でまわっている」と言っても過言ではないほど西米良の女性たちは元気でたくましい。『いとまき倶楽部』のお母さんたちはその代表のような存在だ。結成当時から俱楽部の代表を務める中武三枝さんに『いとまき倶楽部』のこと、そして村の女性たちの元気の秘訣をうかがった。

女性が集える場所づくり

「『いとまき倶楽部』ができたのは村の自立がきっかけでした」

1999年(平成11)から2010年(平成22)の間、政府主導で行われた、いわゆる“平成の大合併”。西米良村においても合併話が持ち上がったのだが、住民投票の結果、村は自立の道を選ぶ。

「村が自立してやっていくことになった以上、私たち女性も村の力にならなければならないと思ったんです。数少ない村民の一人ひとりが頑張っていかないと村がしぼんでしまいますからね。それでJA村所地区女性部の仲間と話し合って、私たち女性の力を一番活かせるのは村の農産物の加工だろうということになったんです」

三枝さんは『いとまき倶楽部』代表に就く以前はJA西都西米良支所長を務めており、その当時から女性の力を活かして何かできることはないかと考えていたという。

「青果として出荷できない農作物を加工して販売すれば無駄になっていたものを原料として活用できるし、女性の力も発揮できる。『いとまき俱楽部』はその想いがかたちになったものなんですよ」

こうして18名のお母さんたちで結成された『いとまき倶楽部』。この4月(取材は2022年2月)で12年目を迎えるが、一人の入れ替わりを除いて今も変わらず18名で漬物や煮しめ、お弁当、お団子など、地どれ食材を使った加工品を製造販売している。

「立ち上げのきっかけは村の自立ではあったんですけど、『いとまき倶楽部』には女性が集える場所づくりという大きな目的もあったんです。仕事が終わって夜間に作業をするのは大変な一面もあるんですが、おしゃべりできたり、情報を得られたりする場所というのはとても楽しいんです。ここまで長くやってこられたのは、みんなで集まることを一番の楽しみにしてやっているからかもしれませんね」

メンバーの約1/3が旦那さんに先立たれて一人暮らしだという。そういう人たちにとって『いとまき倶楽部』は仲間と楽しく過ごせる大切な場所にもなっているようだ。

老いも若きも

『いとまき倶楽部』のお母さんたちのタフさには驚かされる。加工・販売に加えて村の伝統野菜である米良糸巻大根を始め、原材料の生産までも行っているというのだから。しかも、糸巻大根を生産する農園の代表を務めている菊池幸子さんは80代半ばの最高齢メンバー。もちろん名前だけの代表ではない。とはいえ今後のことを考えると、次の世代がしっかり引き継いでいかなければとも話す。

▲いとまき倶楽部の名前の由来であり主力商品の原料である米良糸巻大根。一握りしかない種を村内の各家庭で大切に守り伝えてきた

▲阿吽の呼吸で切り干し大根を袋詰めしていく。そこに言葉は必要ない

「結成から12年、みんな元気とはいえ年齢を重ねているので、今後も活動を続けていくためには体力的なことも考えないと。梅干しにしろ、味噌漬けにしろ、とにかく重たいもんで(笑)軽くて力いらずの加工品を開発しているところなんですけど、今注目しているのがジビエです。この間はジビエ餃子を試作したんですよ」

すでに先を見据えて動いているあたり、さすが百戦錬磨のお母さんたちである。

ところで、『いとまき倶楽部』のメンバー構成は40代前半から先述の幸子さんまで年齢の幅が広い。

「意図してそうなったわけではないんですけど、年齢に幅があることでうまく『いとまき倶楽部』の活動を後に繋げていくことができるんです。加工場はベテランも若い人もそれぞれがいろいろなことを教わる場、勉強できる場になっています。
若い人は他に仕事をしていたり、子育ての真っ最中だったりして毎日作業することは難しいんですけど、メンバーでいてくれるだけでありがたいです」

元気もつながっていく

冒頭でも触れたが、『いとまき俱楽部』のメンバーを筆頭に村の女性たちはなぜこうもエネルギッシュなのだろうか。

「先輩たちの元気な姿を見ていれば、自然と私たちも元気になります。農園の代表をされている幸子さんなんて、畑で大根をつくってここで作業している以外に、昼は弁当屋、夜は居酒屋になるお店を一人で切り盛りしているんですよ。私たちが“きつい“なんて言っていたら怒られます(笑)」

▲一緒にいるだけでこっちも元気になる『いとまき俱楽部』のみなさん。右から2人目が幸子さん

「あとは四季折々に移り変わる風景でしょうか。例えば、春になって花が咲き出すとウキウキして“頑張らないと!“ってなる。大好きな西米良の自然が元気をくれる。背中を押してくれるんです」

最後にこれからの西米良について語ってもらった。

「村の人口が少なくなっているのは寂しいですけど、西米良を代々守って来た人だったり、村外から移り住んできてくれた人だったり、西米良のことを大好きな人がたくさんいるので、これからの村を楽しみにしています。
『いとまき俱楽部』の商品をきっかけに西米良のことを知ってもらい、村に来てくれる人が増えるとうれしい限りです」

取材・文:田中聡(宮崎南印刷)
撮影:安留嵩人(宮崎南印刷)